インプラントとは
虫歯や歯周病などの病気や、外的損傷で歯を失ってしまった場合には、人工の義歯を作製して、歯の機能を回復させる治療を行ないます。しかし入れ歯やブリッジは、周囲の歯と歯肉を利用して固定するので、残っている天然歯に負担をかけてしまいます。
それに代わり、インプラントは欠損した歯が生えていた顎骨に人工歯根を埋め込み、そこに人工歯を取り付けるので、他の歯に影響を与えません。噛み心地は天然歯と比べ遜色なく、見た目もご自身の歯と区別がつかないほど自然な仕上がりとなります。
インプラント治療は自費診療となっています。
費用はかかってしまいますが、入れ歯やブリッジよりも機能面・審美面で優れていることから「第三の歯」ともよばれています。
インプラント治療のメリット
- 硬い物も問題なく噛めて、食事をおいしく楽しめる
- 天然歯そっくりの見た目で、口元を気にせずに済む
- 周囲の歯や歯肉の負担にならない
- 人工歯根を埋めるので、吸収しにくい
インプラント治療のデメリット
- 外科的な手術を行なう必要がある
- 顎骨がもろかったり特定の持病があったりすると実施できない
- 段階的に治療を進めるので期間がかかる
- 保険適用外の診療となる
一般的なインプラント治療(一回法)の流れ
カウンセリング・応急処置
患者さんのご要望や疑問にこたえるため、まずはカウンセリングをします。
歯の欠損が著しい場合には、応急処置をさせていただくこともあります。
精密検査(診査・レントゲン撮影・CT撮影・歯型採取など)
健康状態を確認し、レントゲンやCTの撮影、歯型の採取などから、インプラント治療に適しているかどうか、精密に診査します。
治療計画立案・ご説明
インプラントが適用できる場合、どのように治療を進めるか患者さんごとに計画を立て、詳しく説明をさせていただきます。
一次手術:インプラント埋入手術・縫合
当院ではより精密で安全な治療を行なうために、手術用テンプレート(サージカルガイド)を用いたインプラント治療を実施しています。1回法は、手術後にインプラント上部が露出している状態になります。2次手術を行なう必要はありません。
骨とインプラントが結合する治癒期間:数か月
顎骨とインプラントがしっかりと結合するまで待ちます。患部の状態をチェックするため、定期的にご来院いただきます。
骨およびインプラント周囲の粘膜が治癒してから装置(アバットメント)を装着し、人工歯を作るための歯型を取りを行ないます。
上部構造(人工歯)装着、治療完了
セラミックス製の人工歯を装着します。周囲の歯の色味に合わせて作製するので、自然な仕上がりとなります。
これでインプラント治療は完了です。
メンテナンス・定期点検
インプラントの設置が完了した後も、定期的に受診ください。インプラントは天然歯と同じく、歯周病の悪化で脱落することがあります。
長く大切にお使いいただけるようメンテナンスを欠かさず行ないましょう。
インプラント治療方法
薄くなった骨・歯肉を再生させる
「ソケットプリザベーション法」
インプラント治療では、人工歯根を顎骨に埋め込むので、充分な骨量が必須です。もし顎骨が痩せていて薄くなっている場合には、先に骨量を増やす必要があります。ソケットプリザベーション法は、深刻な歯周病や虫歯などで抜歯をする際に行ないます。歯槽骨にダメージを与えないよう、できるだけ慎重に抜歯し、歯根が抜けて空いた穴へ、骨補填材を入れます。その後コラーゲンの膜で覆って縫合し、歯槽骨が再生するのを待ちます。ソケットプリザベーション法によって、抜歯後に歯槽骨が吸収されることで起こる、歯肉の陥没も防ぐことができます。骨量が充分に確保されれば、将来的にはインプラント治療を実施することも可能です。
上顎の骨の高さを再生する
「ソケットリフト法(上顎洞挙動術)」
上顎洞とは、頬の内部にあたる部分で、上顎と鼻に囲まれている空洞です。上の歯が失われると、歯槽骨が痩せて上顎洞が拡大してきます。歯槽骨が薄くなると、インプラント手術は適用できません。ソケットリフト法(上顎洞挙動術)は、上顎のインプラントを埋め込みたい箇所に貫通しないよう穴をあけ、骨補填材を入れて専用器具で押し上げて、骨の厚みを増やす治療方法です。手術の際には、少しずつ力を加えて骨を動かすことになるので、上顎洞の粘膜を傷つけないよう細心の注意が必要です。骨補填材によってしっかりと骨が作られ、歯槽骨に充分な厚みが確保できれば、インプラント治療を行なうことができます。
顎骨の厚みを再生させる
「GBR法(骨誘導再生法)」
顎骨の量が足りないと、インプラントを埋め込んだときに歯肉で覆いきれず露出して、見た目にも機能的にも問題を抱えることになります。そうした事態が予測される場合には、まず骨の厚みを再生させるために、GBR法を適用することがあります。骨を造成するための手術で、骨誘導再生法ともよばれています。GBR法では、骨量を増やしたい箇所を切開して、骨補填材か患者さんご自身の骨を詰めた後、メンブレンという人工膜で覆って縫合します。メンブレンは、先に再生する歯肉が骨の再生を阻害しないよう、歯肉の浸食を防ぎながら、骨の再生を促進します。骨の不足がわずかなときには、GBR法とインプラント埋入手術を同時に行なうことも可能です。
歯肉切開がなく、より手術の負担が少ない
「フラップレスインプラント」
フラップレスインプラント治療では、歯肉をメスで切開することなく、小さな穴を開けてインプラントを埋入する手術を行ないます。歯肉を剥離することなく傷も小さく済むので、治癒に時間がかかりません。痛みや腫れ、出血といった患者さんの体への負担が大きく軽減されます。切開手術と違い、縫合や抜歯も必要ないことから、手術時間と治療回数も短縮できます。インプラントを小さな穴から適切な位置に埋め込む必要があるので、あらかじめCTデータをもとにコンピューター上でシミュレーションを行ないます。またCTデータから、埋め込む位置と角度を導く手術用のテンプレートを作り、これをガイドに精密に手術をします(ガイデッドサージェリー)。
抜歯した日に仮歯が入る
「抜歯即時荷重」
通常のインプラント治療は、手術による傷口が治癒したり、埋入したインプラントと骨がしっかり結合するまで、次の処置を待たなければなりません。このため治療完了までに時間のかかるものとなっています。抜歯即時埋入インプラントでは、抜歯後に即インプラントを埋め込む手術を行なうので、治療期間は大幅に短縮することができます。仮歯の設置も同日に可能なので、歯がない状態で過ごすことはなく、見た目も気になりません。抜歯即時埋入インプラントを行なうには、顎骨に充分な厚みと高さ必要なので、状態によっては適用できないこともあります。
精確性・安全性を高めるインプラント治療シミュレーションシステム
「ガイデッドサージェリー」
精密で安全なより良い治療を行なうために、当院ではガイデッドサージェリーによるインプラント治療を実施しています。ガイデッドサージェリーとは、CTで撮影したデータをもとに、手術のシミュレーションをコンピューター上で行ない、手術用テンプレート(サージカルガイド)を作製して治療計画通りに精密に手術するインプラント治療です。歯科用CTで撮影した画像を3Dシミュレーションソフトで解析し、インプラントの埋入位置と角度、人工歯の形状など、コンピューター上で確認します。患者さんに合わせて作られた手術用テンプレートのガイドを用いてシミュレーション通りに手術を行なうので、精確性や安全性が高い方法だといえます。事前にシミュレーションの様子をモニターでお見せしながら説明するので、患者さんにも治療の全体像が分かりやすく、安心していただけると思います。
ストローマン社のインプラントを採用
インプラント治療を長期的に成功させるためには、体内に直接埋め込むインプラント自体に高い安全性が求められるため、メーカー選びはたいへん重要です。世界には100以上のインプラントメーカーがありますが、富士見歯科医院では、そのなかでも70ヵ国以上で使われており、世界3大インプラントメーカーのひとつでもある、スイスの「ストローマン社」のインプラントを採用しています。
ストローマン社のインプラントは、大学病院などの研究機関で使われ、長期的な臨床結果が良好であるため、信頼性・安全性の高いインプラントといえます。
富士見歯科医院がストローマン社のインプラントを採用する理由
(1) 世界でのシェア率が高い
世界70ヵ国以上、500万人以上の患者さんが、ストローマン社のインプラントによる治療を受けています。同社のインプラントは、いままで1,300万本以上治療に使用されていますが、これは世界のインプラント市場でも圧倒的なシェア率となっています。
長年の研究・開発により生み出された良質なインプラントだからこそ信頼され、このようなシェアに結び付いているといえます。
(2) 科学的根拠(エビデンス)がある
ストローマン社のインプラントは、国際的非営利学術組織「ITI」(International Team for Implantology)の協力により、学術的に検証された製品を提供しています。その特性や安全性について、科学的根拠(エビデンス)を得ているため、長期的な安全性が認められたインプラントとして、世界的な高評価を得ています。
(3) 長期的な臨床研究による裏付けがある
世界には100以上のインプラントメーカーがあり、さまざまなインプラントを世に送り出していますが、長期的な臨床研究が行なわれているインプラントはたいへん少ないといえます。新しいメーカーが次々に参入してくるため、学術的な検証がなされていないインプラントも多数存在しています。
当院で採用しているストローマン社のインプラントは、臨床研究により治療後30年間トラブルなく使えることがわかっており、安全性に優れていることが裏付けられています。